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  • Writer's pictureDipl.-Ing. Rohaldy Muluk

国民的スポーツ (インドネシア編)

1.はじめに インドネシアで最も人気のあるスポーツは 何と言ってもバドミントン(インドネシア語 で「bulutangkis」)。 バ ド ミ ン ト ン が イ ン ド ネシアに伝わった時期は定かではありません が、20世紀の初頭(植民地時代)にヨーロッ パから持ち込まれたと考えられています。 1951年に設立されたインドネシアバドミント ン協会には、2,000人を超す会員が所属して います。

2.ルール 日本でも広く知られていると思いますが、 バドミントンは、長方形のコートの真ん中に 立てられたネットを挟んで2人(ダブルス、 ミックスダブルスの場合は4人)のプレイヤ が、ラケットでシャトルを打ち合うスポーツ です。“シャトルが相手コートに落ちたらポ イントを獲得する”という非常にシンプルな ルールのおかげで、老若男女問わず、誰でも 楽しめるスポーツとして認知されています。 地方に行くと、“ストリートバドミントン”


【写真1】ストリートバドミントンを楽しむ 子どもたち


を楽しむ子どもたちを見かけることもありま す(写真1)。住宅街の中にバドミントン用 のネットが立っている様子は、日本ではなか なか見かけないのではないでしょうか? バドミントンの試合は、3セットマッチが 一般的です。各セットは、21ポイント先取。 21ポイントを先取したプレイヤが1セットを 取ります。先に2セットを取ったプレイヤが 勝者です。両プレーヤが20ポイントで並んだ 場合、2ポイント差がつくまで、ゲームを続 行します。両プレーヤが29ポイントで並んだ 場合、30ポイントを先取したプレイヤがセッ トを取ります。 ラケットの製造技術は年々進化していま す。近年、耐久性の高い複合軽量材料で作ら れたラケットが登場しています。ヘッドの形 状も楕円形から等尺まで、様々なモデルが出 ています。 シャトルは円錐形状を有しており、その中 心にコルクベースが埋め込まれています。気 軽に楽しむユーザをターゲットとして、プラ スチック製のシャトルも普及しています。

【写真2】ラケットとシャトル



3.インドネシアで人気の世界大会 1992年のバルセロナオリンピックから、バ ドミントンはオリンピックの公式競技に採用 されました。インドネシアはこれまで18個の メダル(金:6/銀:6/銅:6)を獲得し ています(表1)。今年開催されるリオデジ ャネイロオリンピックでの活躍に国民の期待 も高まっています。 オリンピックの他には、トマス杯(男子の 国際大会)、ユーバー杯(女子の国際大会)、 及び、スディルマンカップ等が知られていま す。世界バドミントン連盟(WBF)による チャンピオンシップゲームもインドネシアで は高い人気を誇っています。特に、オールイ ングランド・チャンピオンシップの盛り上が りは最高潮に達しますね(写真3)。

4.結び インドネシアでは、数十年前からバドミン トンが人々に親しまれています。地方の大会 やクラブチームなどから、優秀な選手が続々 排出されています。クラブチームは、将来有 望な若手選手のための奨学金制度も持ってい ます。インドネシア政府も、ナショナルトレ ーニングセンターを作り、バドミントンの普 及と強化に努めています。官民一体の育成シ ステムにより、バドミントンがインドネシア の国民的スポーツに成長したのです。

この育成システムで育った選手は、トマス 杯、ユーバー杯、オールイングランド・チャ ンピオンシップ、さらにはオリンピックで活 躍し、次の世代の目標になっていきます。イ ンドネシアにかぎらず、中国、韓国、マレー シア(メダル獲得数:5)、そして日本も含 めたアジア諸国は、バドミントンの強豪国と して、これからもしのぎを削っていくことで しょう。


【写真3】オールイングランド・チャンピオ ンシップに出場するインドネシア選手



 

著者紹介 Mr. Rohaldy Muluk(ロハルディ・ムルック) Chapter One IP代表。1954年パダン(西スマトラ州) 生まれ。ベルリン工科大学卒業。専門は物理・機械。エ ンジニアとしてドイツで17年過ごした後、2004年より知 的財産分野のキャリアをスタート。2009年コンサルタン ト試験合格。趣味はスポーツ。 http://www.chapterone-ip.com/


編訳者紹介 木本大介(きもと・だいすけ) 日本弁理士、GIP東京所属。1977年神奈川県生まれ。専 門は通信、電気、ソフトウェア。2005年弁理士試験合 格。企業知財部3年、特許事務所7年の経験を経て2013 年7月より現職。モットーは、「正しいモノより楽しい モノを」。 http://www.giplaw-tokyo.co.jp/jp/

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